ブローアウトパネルはなぜ開かなかったのか?

福島第一原発では3号機で3月14日大規模な水素爆発がありました。
これとは対照的に2号機では外見上建屋が保たれています。
この分かれ目になったのがブローアウトパネルが開いたか開かなかったかの違いでした。
Japan's nuclear crisis: the causes and the risks

可能性として考えられるのが何らかの工事をして開かないあるいは開きにくくしたと言う事です。
新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原子力発電所のブローアウトパネルが開き原子炉建屋の負圧が保てなくなり問題になりました。
平成23年10月の日本原子力技術協会福島第一原子力発電所事故調査検討会の資料には、はっきりと「原子炉建屋から水素を除去するための作業(ブローアウトパネルの取外し)が難航」と書かれていますね。


図3.2.1-3 建屋への水素漏えいと水素爆発 原因分析

b)3号機原子炉建屋ブローアウトパネルの外れによる LCO 逸脱
平成 19 年 7 月 16 日 15 時 37 分、3号機において原子炉建屋ブローアウトパネルが外れたため、原子炉建屋の負圧を維持できないおそれがあるものと判断したことから、LCO 逸脱を宣言した。
その後、23 時 7 分、原子炉が冷温停止(炉水温度が 100°C未満)状態となり、原子炉建屋の負圧を維持することが要求されない状態となったため、同時刻に LCO 内への復帰を宣言した。 なお、当該ブローアウトパネルについては、7 月 21 日に仮復旧を行った。また、同号機及び2号機のタービン建屋についても、ブローアウトパネルが外れていたことから、7 月 20 日に仮復旧を行った。

原子炉施設故障等報告及び電気関係事故報告
柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」
発電所現況視察後質疑

委員:ビデオレターを見ているが今日はその復習のつもりで見た。5本目がよくできていて言葉もはっきり伝わってきた。ブローアウトパネルに対しての補強等はどのようにしているのか。
東電:ある程度圧力がかかったときに開かないと機能が果たせない面と、地震で落ちたら困るという面がある。いろいろ案が出ていて、例えば、外れてもすぐ戻るように自動的にチェーンロープのようなもので落とすなどの改善ができないか工法を検討していると聞いている。

平成19年 2007年 株式会社エイチイーシーエンジニアリング
東電各号機原子炉建屋・タービン建屋
 ブローアウトパネル修繕工事


新潟機電工業株式会社
「所定の圧力が作用するとパネルを固定している金物が塑性変形を起こし動作する」となっているが重要なのは新潟県中越沖地震柏崎刈羽原子力発電所のブローアウトパネルが開きこれを問題視して容易に外れないようになんらかの補強をしていることだ。

水素爆発に関する状況
なぜ水素が発生するのか

水―ジルコニウム反応について
燃料被覆管が高温になると、被覆管中のジルコニウムが冷却材(水)と反応し、水素が発生する。
Zr+2H2O → ZrO2+2H2
この反応は、被覆管温度が高温(約 900°C以上)になると反応割合が大きくなる。

水―ジルコニウム反応について
3月12日13時15分頃の動画の画像
この時点では2号機もブローアウトパネルは開放していません。



5号機6号機にもブローアウトパネルはあるはずだが3月19日屋根に穴を開けている。いざという時にやはりブローアウトパネルは開かないのだろう?

5、6号機の屋根に穴をあける 水素滞留防止のため